時事評論(外交知識普及会 発行)
2004/12月号掲載
被災地支援 求められるものは何か     佐賀県知事 古川 康

新潟県中越地震の発生を受け、佐賀県はまず先遣隊を送った。大災害の時、何が必要なのか、何はいらないか、それを届けるにはどうしたらいいのか。そういう情報を得るのは意外と難しい。なぜなら、自分と同じような視点で物事を見てくれる人はそんなにいないからだ。
また、現場である市町村は忙しい。それなのに、県から国から、あちこちの部署から「あれはどうなっている」「これはどうした」、そういう資料や報告を求められる。冗談じゃない、情報がほしければ現場に来い。そういう声を何回も聞いた。
だから僕は、何か大きな災害が発生した時は、情報収集のため、連絡要員を現場に派遣することにしている。
今回も新潟県に4名の職員を送った。こういうことをほかの自治体もしてしまうと、それだけで現地は大変になる。ある意味での禁じ手と知りつつも、現地にいる彼らからの報告は的確だった。
そして数日後、「佐賀県民からの支援物資」と大書された胃腸薬やかぜ薬を中心とする支援物資と、医師、臨床心理士、看護師、保健師までのフルセットからなる医療関係チームが佐賀県庁を出た。
身内がかつて地震の被害者になったが、同じものばかり送られてきて困ったということを言っていた。例えば、即席ラーメンは送ってくれても、それを沸かすための水や燃料のことまでは、頭がなかなか回らないというのだ。
ある地域で地滑りによる大きな災害があったとき、全国各地から支援物資が送られてきた。
一番困ったのは古着だったという。「折りたたまずにグチャグチャになっているのはまだいい方で、洗ってないものが結構あったんです」と当時の担当者が話していた。
困っているんだから、何でもいいじゃないか、ということではないだろう。       
憐れみとか情けとかではなく、こういう時だからこそ、被災者の方に敬意を払いながら支援させていただくという姿勢が必要なのだと思う。
先遣隊からは、こんな報告も届いた。
「もうすぐ仮設住宅の建設が始まります。佐賀県は、有田焼など焼き物の産地。次は食器の支援の出番ではないかと思います。準備をお願いします」。