| 財界九州 2006.6月号 | |
| 発行所:(株)財界九州 発行日:平成18年5月20日 |
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| 佐賀県知事 古川 康 | |
「タテ・ヨコの再編を明確に区別し地方主導で骨太の議論を」 戦後60年を経過し、「この国のかたち」が変わろうとしている。政治、行政、経済など様々な分野で変化が起こり、社会全体で大きな地殻変動が進んでいる。道州制もそのひとつだ。 道州制移行は行政効率化以上の理由付け必要 国と地方の望ましい形は、できる限り身近なところで判断し処理すること。住民の身近な問題は、実情に即して迅速な対応が可能な市町村が行い、市町村ではできないことを広域自治体が行う。国は、日本国民が諸外国との関係で不利にならない仕組みづくりをしっかりやってほしい。 九州地域戦略会議に官民による検討委員会が設置されるなど、九州は道州制の議論が活発な地域の一つ。ただ、道州制を議論するうえで注意すべき点は、行政の効率化と地方分権の強化を分けて考えるということ。つまり都道府県合併と道州制の違いを明確にする必要がある。経済界の中には、「行政効率化の必要性という観点から九州は一つが望ましい」という意見が多いように感じる。しかし、行政の効率化のみを求めるのであれば、都道府県合併でいい。 九州地方知事会が議論しているのは、地方分権強化の手段としての道州制。都道府県合併が国と地方の関係が変わらない「ヨコの再編」に対して、道州制は、国と地方のあり方を根本から変える「タテの再編」だ。道州制の意義は、中央政府の荷を軽くすること。中央政府の役割を中央政府でなければ、果たし得ない役割に特化することで、世界の中で、わが国がより主導的な役割を果たすことが可能になる。同時に、地域に関わることの多くを地方政府が自立的に行うことで、より少ないコストで満足度の高い社会を実現することができる。行政の「効率化」だけでなく、「地方分権」という視点を共有することが必要だ。 道州制の議論を活性化する上で経済界の方々の存在は非常に大きい。県境を越えた経済活動の難しさを知っている当事者だからだ。また、これからの論議では、道州制に移行することによって、国民のくらしや経済活動がどうなり、 どういった課題が解決できるのかを具体的に議論し、地方から道州制はこうあるべきという姿を示すべきだろう。その場合、例えば司法の一部を道州が担うなど憲法改正にまで議論が発展するくらいの骨太の道州制があっていい。なぜなら、中途半端な道州制の議論だと、これまでに積み上げてきた地方の権限までもご破算にされ、中央政府の関与が強い形で制度設計されてしまう危険性があるからだ。 州都はどこがいいかという議論は、現時点では道州制を壊す議論。新しい枠組みを決めてから議論すればいい。ただ、州都のあり方としては、バランスや危機管理の面から経済の州都と政治の州都は分けたほうがいい。 |