NPO法人筑後川流域連携倶楽部
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NPO法人筑後川流域連携倶楽部理事長久留米大学経済学部教授
DATAI Tadashi
佐賀県知事
FURUKAWA Yasushi
環境と経済は相乗する効果をもつ。有明海の宝物を生かせば、地域の活性化につながる。 有明海は私たちの生活をうつす鏡。「暮らし」や「環境」の視点をもって有明海再生に取り組む。
幹川流路延長百四十三キロの旅を終えて、筑後川がたどり着く有明海。その宝の海は筑後川流域で暮らす人々に恩恵をもたらしてきました。しかし、現在、その海にある宝は失われつつあります。佐賀県は有明海再生に向けて様々な取り組みを始めています。そこで、有明海の魅力と再生への取り組みについて古川康佐賀県知事にお聞きしました。
駄田井
筑後川について思いをお持ちでしたらお聞かせください。

古川
唐津(※1)にいる頃、友達の母親が筑後川流域の出身の人で「筑後川は松浦川の十倍ぐらいある川だ」と聞かされた記憶があります。去年、私は佐賀県知事になってから、筑後川や有明海を改めて見直すと、わが国有数の大河であること、水との闘いの歴史の痕跡を見ることができました。アオ取水(※2)や三千石堰(※3)をはじめとする「人類の知恵」には驚嘆します。私たちは本当に自然によって生かされているという実感があります。


駄田井
先日、有明海ぐるりんネットシンポジウムを市民と協働で開催されましたが、佐賀県は有明海再生に向けて様々な取り組みを行っていますね。

古川
有明海再生を考えるときに有明海に関わる森羅万象が有明海の再生につながるようにしなければならないと思います。そのために、漁民や有明海の関係者は行動しますが、一見無関係に見える人も行動しなければならないというのが私の強い思いです。そこでまず、有明海が海としての機能を発揮できる海にしていくために「暮らし」や「環境」という切り口で捉えた「くらし環境本部有明海再生課」という課を作りました。次に佐賀県は現在、全世帯の半分で汚水処理ができていません。また、汚水処理の方法は多様ですし、市町村の事業でもあることから普及に時間がかかっていました。これは有明海にとって環境負荷になっています。そこで、汚水処理の概念を統一して地域に適したしかも早期にできる方法を提案してくために下水道課を作りました。


駄田井
山から海に至るすべての場所で暮らす市民を巻き込んで有明海を守るわけですね。

古川
はい。他にも、有明海異変の原因を究明する必要があると思っています。そこで、現在、個々で行っている有明海沿岸の大学や研究所の知見を集め、情報交換ができる場所やシステムを作りたいと思っています。皆様の興味が集まっている今だからこそ、積極的に推進していきます。


駄田井
環境と経済は相乗する効果もありますので、全国的に有名な「ガタリンピック」のような有明海の魅力発信の機会をもっと作れば、有明海を守る機運が高まると思いますが。

古川
ガタリンピックは評価していただいていますが、一般市民にとっては縁遠い部分もあると思います。そこで、川や海の魅力を市民の視点で判りやすく伝え、身近に感じてもらうために、例えば、東与賀町周辺では有明海の海底は泥なので「ワー泥カップ」を開催することやイスラエルの死海で盛んな「泥美容」を有明海の泥でやってみること、それに併せて有明海産の魚介類を食べて頂ければ、有明海を利用した総合リゾートができるのではないかと思っています。いい景色を眺めながらしかも美容やグルメを楽しむことができれば、環境や景色が地域の活性化につながるということが理解してもらえますし、それをきっかけに景色を守ろう、環境を守ろうという考えが皆様に伝わると思います。


駄田井
いろいろな機会から、有明海の魅力を多くの人に知って頂きたいですね。今日はお忙しいところありがとうございました。


(※1)知事は10歳まで佐賀県唐津市に在住
(※2)干満の差を利用して感潮河川に流れ込む淡水だけを農業用水として利用する方法
(※3)筑後川支流の城原川にある堰