| 都道府県展望 2007.2 No.581 発行所:全国知事会 発行日:2007年2月1日 |
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| 知事随想 「われ、分権の戦士たらん」 佐賀県知事 古川 康 ![]() 「地方分権を進める原動力は、自らの努力以外にない。そのために、知事が率先して、自分の言葉で、施策を“実話”として語り、地方自治の良さ、ニア・イズ・ベターを示してほしい」 昨年末の全国知事会議で、分権改革推進国民運動小委員会委員長として、私はこのように提案した。 「実話」が持つ力は大きい。 一連の地方自治体の不祥事は、残念なことに多くの国民に、地方自治体の統治能力に対する疑念をもたせるのに十分すぎるものだった。このマイナスの実話が持つ力を、私たちは肌で感じることができた。 だからこそ、この経験を活かし、今度はプラスの実話を語ることで、地方自治にする理解を広め、地方分権への大きな支持につなげなければならない。 こうしたことを昨年末の全国知事会議で主張した後、今年になって、いくつかの会議で何人かの知事さんたちとご一緒する機会があった。 そのとき、異口同音に、「地方分権を進めるために、いろんな実例を紹介していきたい」という趣旨のご意見をいただいた。私の主張をご理解いただき、また同じ気持ちをもっていただいていることにうれしく思った。 「実話」を語る意味は、もう一つある。それは、われわれを「常勤の分権の戦士」に高めることだ。 地方分権改革は、良くも悪くも、今、権限と税財源を持っている国との戦いである。 しかし、現実に、国政における決定権をもたない地方にとって、この戦いの武器はなんだろうか。それは、それぞれの地方自治体が「それぞれの地元」という舞台において、日々、良質な行政サービスを主権者・国民の皆さんに提供している、という実績以外にはない。これを唯一最大の武器として、国民の皆さんの共感を得るしかない。決して、「千代田区平河町の都道府県会館」という舞台で霞ヶ関批判をすることだけを武器とする戦いにしてはならない。 地方分権を進める基礎体力をアップさせるためには実話を語り続けること、作り続けるほかはないのだと思う。 永田町や霞ヶ関に対して、奇襲戦をしかければ、一時の派手さで世論やメディアは沸くかもしれない。しかし、こうした「風」はあてにならない。郵政民営化の小泉劇場に国民は熱狂したが、いまやあの熱狂的な支持は影を潜めてしまった。 実話を地元で作り、それを外に向けて語り続ける。地道であり、すぐに、世論を熱狂させることは難しいかもしれない。しかし、人の共感をよび、そして長く理解者であってもらうためには、奇策奇手ではなく、こうした正攻法を展開しなければならない。 今年、平成19年(2007年)は、地方自治法施行60周年の記念すべき年にあたる。 この記念すべき年は、地方自治にとって正念場の年になる。地方分権改革推進法に基づく新たな地方分権改革の議論が本格的にはじまる。また、道州制論議など「新しいこの国のかたち」についての議論もはじまる。 一方で、身の回りのくらしに目を転じると、格差社会や市場原理の流れの中から「取り残された人々や地域」がでてきている。そうした人々や地域からは、「このままではダメだ」「何とかしなければ」という切実な声がきこえてくる。 この声に、自治体が「格差社会に対して、脱・格差」「市場原理に対して、市民原理」といった考えのもと、しっかり手を差し伸べることができれば、それは地方に対する大きな信頼となり、わたしたちが進める改革の良き理解者になってくれる。 この記念すべき年が、後の世からみて、失われた年にならないよう、「われ、分権の戦士たらん」との気概をもって戦わなければならない。全ての自治体関係者の皆さんとともに。 |