全国建具組合連合会佐賀県大会 知事メッセージ
(平成16年5月「建具報」 に掲載)

知事に就任してようやく1年経ちました。この立場になってはじめて経験したことはたくさんありますが、「本格木造の家に住まう」ということもそのひ とつでした。  

私が住んでいる知事公舎は明治24(1891)年の建築です。日清戦争前に造られただけあって、たとえば玄関の車寄せをとってみても、公用車をそこにつけるだけの広さがありません。なぜそんなに狭いのかというと「当時は馬車だったから」ということのようです。  

そういう歴史と由緒ある知事公舎に住まいながら感じるのは伝統的な建具の働きです。たとえば障子ひとつにしても、熱や光を防ぎながら、その一方で、遮断するだけでなく、やわらかくして通す、というある意味での半透膜的な機能をそこに感じてしまいます。冬の寒い日、障子越しに入ってくる光がかすかに熱を帯びていることを体で感じるのは、悦楽とも言える経験でした。  

多くのものが機械やコンピュータによって処理されるようになった時代だからこそ、私は、人にしかできないことを人のために作りあげる営みの尊さが見直されて来ていると思います。  

人が主役の佐賀県へようこそ。第49回全国建具組合連合会「佐賀大会」の開催を心から歓迎いたします。   


平成16年5月    佐賀県知事 古川 康