発行:佐賀県企業メセナ協議会
発行日:平成16年12月1日
佐賀県企業メセナ協議会10周年誌メッセージ  佐賀県知事  古川 康

「健康は別として、お金ほど必要不可欠なものを知りません。」
これはモーツァルトの言葉ですが、彼ほど名誉をほしいままにした天才でも、「財」というものがいかに重要なものであるかということを訴えています。
歴史を振り返れば、華やかな文化の時代には、確かに社会や経済の豊かさがあったということに気付かされます。ルネサンス時代にしても、安土・桃山時代にしても、いずれも安定した環境の中であり、モーツァルト自身もまたハプスブルグ家に近づくことを目的にウイーンに赴いているという事実からも、精神的な豊かさは、経済的な豊かさと常に表裏一体をなしている、そういうふうに言えるのかもしれません。

一方で、シェイクスピアは、「輝くものが全て金にあらず」(ヴェニスの商人)と言っています。私なりに解釈すれば、経済(お金)に代え難いもの、そういうものも確かに存在するということであり、メセナ活動の本質的な意義もそこに見出すことができるのではないかと考えています。

いま、佐賀県企業メセナ協議会が創立10周年を迎えられ、その歩みを記録に残されるということを伺いました。10年間の社会・経済事情は別におくとしても、ドッグ・イヤー、あるいはマウス・イヤーと称されるように社会のスピードが速くなり、変化するなかで、創立以来の理念を変わらずに引き継ぎ、みなさんの志を一つに集めて今日を迎えられたことは大変に尊いことだと考えており、心から敬意を表したいと思っています。
とりわけ、10年の間に、佐賀県内の子どもたちに向けて、文化や芸術活動の尊さを伝え・支えていただいています。今年から佐賀県は、県内に生まれた子どもたちが自信と誇りをもって佐賀県、あるいは佐賀県の良さを語ってもらえるようになればとの願いを込め、「オンリーワン」のさが体験活動支援事業に取り組んでいますが、そうした想いに共通するものがあり、心から嬉しく感じています。

平成16年という年は、これまでの佐賀県の素晴らしい財産を生かして、これをさらに高めていくという意味で、「改進」の年と位置付けました。歩みは始めたばかりですが、「県民協働宣言」など、これまで単体で進めてきたことを一歩進めて、みなさんの力を合わせてより元気な佐賀県を築いていくという考え方を分かち合うことに力を注いでいきたいと考えています。
そして、そのためには、住民や企業、行政という考え方ではなくて、ともに地域を支え合う「市民」的感覚が必要なのだと考えています。
どうか、これまでの10年の財産を基礎に、これからも佐賀県を支えていただく“企業市民”としてのご発展を願い、心からのお祝いを申し上げます。