2004年2月17日 熊日新聞掲載
くまもと解体新書 「地方独立への挑戦」
ふるかわ やすし 

佐賀県唐津市出身、45歳。
東京大法学部卒業後、自治省(現総務省)入り。自治大臣秘書官、長崎県総務部長などを歴任。
昨年4月、自身を含め自民党佐賀県連が4人を支持した激戦を制し、全国最年少知事として初当選。
「情報公開度ナンバーワン」を目標に県の各種審議会の内容をウェブサイトで公開している。
=佐賀県庁で=


「地方政府」の自覚が第一

国の三位一体の受け止めから。
「税源を地方に委譲すると国が明言した意味は大きい。
明言というより閣議決定事項だ。
掛け声だけでなく、政府が取り組む具体的政策課題とした点を評価している。」

しかし、昨年末に具体的に示された改革の中身は地方交付税、国庫補助負担金の削減ばかりが先行したと、地方の反発は大きい。
「2004年度県予算など短期的にみれば今回は地方側の負け。
でも、税源委譲で所得譲与税という基幹税への道筋が開け、次につながる負けだったと思う。
今度、地域格差の少ない消費税の委譲を国に求めていく。」

「三位一体の改革は、金勘定でいえば地方が損なのは分かりきっている。
しかし、改革は国の税収を減らして地方に持ってくること。地方の人間、県庁の人間が、国の制度や意向を気にせず、住民の意向を気にして施策展開するようになる。
地方政府として当たり前の姿だろう。」

地方政府という言葉が出たが、どんなイメージを持っている。
「自治体は、住民が強制的に負担させられる租税をベースに役所が使い道をつくり、それを住民から選ばれたトップが判断し、住民代表の議会がチェックしている。国(中央政府)と全く同じ。
要は、県や市町村の職員が地方政府としての自覚を持つことだ。」

「県職員に絶対にやめてくれと言っているが、いまだに霞ヶ関の官庁を本省という。
何か新規事業をするとき『本省に相談してみます』とね。
国の出先機関じゃないんだから。
住民の声より、中央省庁の課長補佐の意見が通るいびつな実態がある。」

国の側にもそうした意識は強い。
「だから、中央政府が『制度をつくったので、この事業をやって』みたいに地方を自分たちの手足みたいに使うのはやめてくれと言っている。」

「県内のある町で、町立幼稚園の隣に民間のデイケアセンターができた。
町側が幼稚園の空き教室をお年寄りとの交流の場に使おうとセンター側に申し入れたら、文部科学省から待ったがかかった。国の補助で園舎を建設したので、耐用年数を超えるまでは、お年寄りが教室を使うなら使うなら有償だとね。冗談じゃない。少しばかり金を出したからといって、町の施策を国が縛っては困る。」

「地方分権、地方自立に向かうこれからの時代は、中途半端に国から金をもらうと、地方は迷惑なんだ。」

地方自立のため、最も必要と考えることは。
「一番大切なのはマインド、先にも述べたように地方政府としての自覚。まずは地方が補助金を当てにしないこと。補助金が減っていく中で、中央官僚は今、地方に対する興味を失いつつあると私は思っている。今がチャンスだ。」

そのために取り組んでいることは。
「佐賀県政府確立に向けた県庁の組織づくり。今までの県庁は各部局が中央省庁と直接つながっていて、言ってみれば国の合同庁舎と一緒。だから管理部門の総務部が権限を持っていた」

「4月から部局をやめて本部制にする。
企画部門を筆頭の統括本部とし、県の全体方針を決める。その次は住民生活に密着している、くらし環境本部。
それから農林水産商工本部、県土づくり本部と続く。
総務部門は経営支援本部。当然、本部長には副課長(課長補佐)以下の人事権を与える。