| 月刊ガバナンス1月号(2007年1月1日発行) | |
| Interview 古川 康知事に聞く 県庁を「ラビット役」に 子育てしやすい地域づくりを ![]() ふるかわ・やすし 1958年佐賀県生まれ。東京大学法学部卒業後、自治省(現・総務省)入省。自治大臣秘書官、長崎県総務部長などを経て、2003年4月の佐賀県知事選に日本で初めてマニフェストを掲げて出馬、初当選を果たす。当時、全国で最も若くして知事に就任。現在1期目。全国知事会分権改革推進国民運動小委員会委員長。 ――自治体の積極的な子育て支援への取り組みが増えています。 私たちは、通りで遊ぶ子どもの数の少なさや、子どもで一杯だった教室が備品置き場になっているのを目の当たりにしている。国よりも現場を抱えている自治体の方が、人が減っていることを如実に感じているからではないか。 また、九州・山口各県では、共通のホームページや子育て応援の店事業などの連携を進めている。この子育て応援の店事業は、石川県のプレミアム・パスポートを参考にしたもの。国が示したものを、補助金をもらってどこの県も同じようにやるのとはまったく違う図式が、分権時代になって出てきている。 ――佐賀県では国の制度に踏み込んだ育児保険構想を提案した。 子育てをするのに、もっと経済的な支援が必要なのは、争いのない事実。だが、財源の話になると、具体策が出てこない。だから「こうすればできる」ことを見せたかった。住民の負担が伴う話を自治体自らが提案することで、責任を持ってやるという意思表示をした。 我々は4.4兆円の財源確保の提案をしたが、「もっといいものがある」というのなら、ぜひ出してほしい。構想を実現してほしいが、これを素材に議論する気運が高まっていけばいいなと思っている。 構想もバージョンアップしている。発表して説明に行く、指摘をされる、そのたびに持ち帰って、ブラッシュアップしてきた。まだ十分ではないと思うが、風を起こす、波を起こすことには成功したのではないか。 こうして政策提案することで、職員が自分のポテンシャルに気づくのも大きい。そもそも育児保険を研究したのは職員の発案。それが非常にうれしい。 ――働き方の問題に対しても積極的に取り組んでいる。 県庁も事業所の一つ。だから事業所として模範にならなければいけない。特に佐賀県のような地方の場合には、マラソンで先頭に出てみんなを引っ張っていく「ラビット役」のように、県庁が事業所をリードしていくべきだと思っている。県庁の職員が第2子、第3子を持つことに不安があるようでは、他の企業にできるわけがない。 その一環が「子育て井戸端会議」。育休中の職員に託児スペースつきで集まってもらい、今の県庁のことを話したり、厚生関係の制度などを話す。でも一番効果があるのは、空き時間の雑談。みんなが子育てから解放されて、同じような境遇にいる人同士が話をすることでリフレッシュできる。 また、希望する職員が県庁のイントラネットを自宅で見られる環境を整えた。復帰に不安を抱えている人は多いので、その解消がねらいだ。これには、あなた方を戦力として待っているというメッセージを込めている。働きやすく、休みやすく、戻りやすい職場環境にしていきたい。 そのほか入札参加資格などにインセンティブが働く仕組みを導入している。例えば育児休業制度を設けていれば5点、いなければマイナス5点と点数化して、プラスアルファする。県内の企業にもぜひ取り組みを進めてほしい。 |