| 月刊エネルギーフォーラム2005年11月号掲載 発行所:潟Gネルギーフォーラム |
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| プルサーマルの安全性についてはまだ踏み込んだ議論が必要 古川康佐賀県知事に聞く ![]() 経済産業省の原子力安全・保安院は9月7日、玄海原発3号機でのプルサーマルを計画している九州電力に対して、原子炉設置変更を許可した。 国が九州電力のプルサーマルに対してゴーサインを出したことになり、今後は佐賀県、玄海町の判断が実施のカギを握ることになる。経済産業省は10月に玄海町でプルサーマルについて公開討論会を開いたが、古川康佐賀県知事にその評価、またこれからの県の対応を聞いた。 本誌 まず、プルサーマル計画、そして国策である核燃料サイクルについてどう考えていますか。 古川 核燃料サイクルを着実に実現していくことが、わが国のエネルギー安定供給、エネルギー安全保障にとってプラスになると基本的には考えています。核燃料サイクルを進めていくことが、海外にエネルギーをできるだけ頼らずにすむ社会をつくっていくことにつながる。プルサーマルについては一部に批判があることも理解していますが、今は行った方がいいのでは、と考えています。 経済産業省主催のプルサーマルについての公開討論会の第一部のテーマは「必要性について」でした。必要性については理解できたし、問題点もよくわかりました。問題点や課題を言っていただけるから非常にわかりやすかったのです。 たとえば、「コストが高くなる」、「使用済MOX燃料の再処理がはっきり決まっていない」などと問題点をさらけだした上で、それでも「やった方がいいのか、それともやらない方がいいのか」という言い方をされたので、とても分かりやすい議論となり、よく頭に入りました。 本誌 プルサーマルについてはメリットの方がデメリットよりも大きいと考えますか。 古川 やはり、このまま海外にエネルギーを依存していく、あるいはまだ使い道のあるプルトニウムやウランを使わずに地中に埋めてしまうよりは、効率は必ずしもいいとは言えませんが、自国の技術力でそれらを使っていく方が、わが国の将来を考えたとき、正しい選択だろうと思います。 コストが高くなる分は国民の理解を得る必要がありますが、国が説明しているように電気代として年間600円から840円くらいのの負担増ということであれば、理解を得て行っていく方がいいのではないかと思います。 本誌 公開討論会の二部では「安全性について」をテーマに原子力安全・保安院の担当者と三名の学識経験者が安全性について説明しましたが。 古川 残念ながら、安全性については公開討論会で理解が深まったと言うのは難しいと思います。なぜかというと、プルサーマルに反対派の人たちが参加しなかったからではないかと思います。安全性についての議論については、経産省に対してわれわれは、反対派の人たちも含めて議論すべきだとか、もっと質疑の時間をとるべきだと主張したのですが、結果的に受け入れられなかった。安全性の議論は、ただでさえ難しい話なのに、賛成の専門家ばかりが壇上で発言し、かえって議論を混乱させてしまったのではという印象を受けました。参加者の多くが消化不良のまま帰られたと思います。 また、尋ねられたことに正直に答えなかったり、言えることを言っていない。例えば、プルトニウムの富化度についても、諸外国での実施例よりも高いのならば、そうはっきり言うべきです。それなのに、はっきりと正直に答えない。そういうことが「この人の言うことはあてにならないな」という気持ちを生んでしまう。このことは決して原子力の将来にとってプラスにはならないと思います。 聞いている人たちはみな専門家ではありません。でも、話している内容が本当かウソか、この人は一生懸命真実を語ろうとしているのか、それを見ぬく目はみんなプロなんです。 本誌 原子力安全・保安院と推進側の講師としては、不安を増す可能性があるようなことは言いたくなかったと思いますが。 古川 確かに技術的に正確なことしか言われなかったと思いますが、どうも経産省と、より住民に近い立場にいるわれわれとは、価値観が違うような気がするんですね。われわれはリスクがあることでも本当のことを言わないと、信頼は得られないと考えています。ですから、いつも本当のことを言う。結論が先にあって、そのために耳にやさしいことしか言わないような自分たちの代表を、住民は信じてくれませんよ。 本誌 今後、佐賀県が主催して公開討論会を行うと聞きますが、どのような構成を考えていますか。 古川 プルサーマルについては、われわれにも推進派、反対派の両方の人たちから申し入れがあります。反対する人たちの意見を聞いて、何に対して反対なのか、どういう点が不安なのかについて、一定の理解をしています。われわれとしても、経産省から説明を受けた当事者として、まだまだ疑問などがあります。それらの点を、きちんと分かりやすく明らかにする場にしたいと思います。 安全性での不安について、私が最も多くの人から言われることは、テロがあった場合、防げるかということです。プルサーマルは使われるのがプルトニウムなので、ウラン燃料よりもなおさら心配だということです。しかし、その心配について、原子力安全・保安院の回答は「テロを想定して審査していない」ということだけなんです。これでは不安は増幅してしまう。 ですから、佐賀県主催の公開討論会ではテロの専門家を呼んだほうがいいかもしれない。やはり、住民が何を知りたいと思っているのか、主催者は事前にきちんと調べておかなければいけない。そして、その疑問に答えられるようにしなければいけないと考えています。 本誌 実際にプルサーマルを行う九州電力にはどのような期待がありますか。 古川 九州電力はこれまで原子力発電所で大きなトラブルを起こしていません。その点で、一定の信頼感の醸成はできていると思います。ですから、ためらうことなく積極的に情報公開を進めてほしいと思っています。住民と一緒に考えて、一緒に進んでいくという姿勢をなくさないでほしいと思いますね。 |