息子とその母親
   きみらを直線的につなぐもの
   それはなにか


   あの細い粘力のある銀色の蜘蛛の糸のように
   すばらしい牽引力を持つ蒸気機関車の主連棒のように

  
   鹿児島まで330キロメートルの距離を
   夕方の買物にでもでかけるように
   気軽に発(た)せるもの
   それはなにか
   若い新しい恋人にでも 会いに行くように

   胸に杏っぱい汽笛をならしながら
   鋼鉄の軌条のうえ 私を遠去っていく

   平均して はち切れそうな両の乳房 の かわりに

   果物や菓子や弁当や
   更衣(ころもがえ)の衣類や日用品を
   バッグに詰めこみ
   右と左に提げてみて
   バランスをとっている

   台風13号 沖縄南方北上中
   きみは運動会の弁当を作っている
   栗の入った御強ご飯(おこわごはん)をはじめて炊いて
   蒔絵(まきえ)の重箱をとり出すと
   海老  豆  肉  魚・・・・・
   などといっしょに
   <台風の目>をも 料理して詰めこんでしまったようだ