![]() 古川 康の自治省時代から知事になる前までの執筆をご紹介します。 |
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| 地域政策 1999 Spring 平成11年4月 | |
| 「地域振興券についての最近の状況」 | |
| 自治大臣官房企画室環境対策企画官兼地域振興券推進室副室長 古川 康 | |
1.四月一日で全国市町村が交付開始 4月1日に3,255の市町村で地域振興券の交付が開始された。1月29日に島根県浜田市で始まって以来、約2ヶ月ちょっとですべての市町村で交付が開始されることになった。自治省に地域振興券推進本部が設けられたのが11月16日だったことを思えば、約4ヶ月半ですべての市町村で交付が開始できたことは予想していたよりかなり早い対応だと言えるだろう。 全く初めての経験であり、また、統一地方選挙の準備もあったことも考え併せると、よくぞ短期間でここまで来たなというのが正直なところである。市町村、そして都道府県の御尽力に心から敬意を表したい。 歴史的にも類を見ない交付事務となり、自治省としてもなるべく早く、しかも多くの情報を提供するよう努力してきたつもりであるし、また、市町村からのお問い合わせについても、普通なら都道府県経由で対応するところだが今回は、直接お伺いすることにして、少しでも当方の考え方が伝わるようにした。 「NEWS LETTER」を全市町村に送付することにしたことや、メールやファックスによるご意見、ご質問に対してもできる限り対応させていただくことにしたのも同様の趣旨だった。必ずしも十分とはいえなかったかもしれないが意のあるところはご理解たまわりたい。 2.最近の問い合わせ等 2月まで都道府県、市町村からの質問が多かったのが、交付が本格化するにつれ、一般の方からの電話が増えてきた。内容的にはほとんどが交付対象者とならなかった方からで、扶養、外国人、相続の三点についてのものが多かった。 扶養については、ご承知のように被扶養者については扶養している者の住民税の納付額で判断することとされている。これは臨時福祉特別給付金の時も同じだったものであるが、被扶養者たとえば夫婦ともに65歳以上である場合に、夫の収入がかなりの額に上がっていても同居している妻の所得がない場合などには住民税の給付すべき額はないことになる。本人自身の住民税非課税だけを要件とすると、このような者(妻)に対しても交付することになる。 当方でも被扶養者については臨時福祉特別給付金の支給対象者と同様であることや、今回対象外とされた者については、世帯として考えた場合には扶養している者に相応の所得があると考えられること等を説明してご理解をたまわるよう努力しているが、今後、申請漏れ防止のための広報を市町村で実施される場合には、被扶養者についての取り扱いを詳しく説明していただくよう、お願いしたい。 外国人については、今回、一号要件については世帯主が永住者または特別永住者であればその世帯に属する15歳以下の児童がある場合には交付対象者とすることとしているが、これは、永住者または特別永住者はその地域に長く住み続けることができる者として法律的にも認められていて、その意味で地域との関わりがより深いと考えられるからである。もちろん政策論として非永住の外国人についても交付対象者とする余地が全くないということではないが、今回については財源的な制約もあってこのように定められたものである。 相続については、たとえば基準日現在において交付対象者の要件を満たしていた65歳以上の者が、その後交付開始日前に死亡した場合、地域振興券の交付を受けることができるのかという質問が多いが、地域振興券の交付を受けることは、一身専属的なものであり、他への譲渡が認められないこともあって相続の対象とはしないこととされているため、相続人が、死亡した本人に代わって申請することや交付を受けることは認められないこととなるものである。 3.お釣りの扱い 問い合わせが多いというわけではないが、一部の事業者において地域振興券を使った取引の際にお釣りを現金で出すという動きがあった。 市町村の迅速かつ適切な対応により、事業者側が撤回したケースもあるが、再三にわたる説得にもかかわらず、事業者がお釣りを出すことをやめないため、やむなく特定事業者の取り消しを行った例もある。 お釣りを出さないことにしている趣旨は、事業者保護のためのみならず、換金防止と消費拡大ということもある。10円の商品を買って990円お釣りをもらうということを認めるとそれが実質的に換金と同様の結果を招くおそれがあるということであり、この点についても事業者に理解していただくことが必要になり、その点、市町村からの指導を期待したい。 4.偽造、汚損など 当初心配された地域振興券の偽造については、これまで偽造券が行使された事件として取り扱われているものはないが、一部の地域においては、地域振興券とは思われないものが「洗濯により汚損したので取り替えて欲しい」として持ち込まれたという事実も発生している。事業者及び市町村において地域振興券の真贋についてのチェックをきちんと行うよう、あらためてお願いしたい。 5.各地における取り組みの状況 4月1日までにすべての市町村で交付が開始され、それに伴って事業者の取り組みも様々なものが出てきている。少しでも多く地域振興券を使っていただくようにということであるが、消費喚起が地域振興券交付事業の主要な目的の一つであることを考えれば、こうした取り組みについてはまことに喜ばしいことであり、熱心にお取り組みをいただいている事業者の方々に感謝する次第である。 例えば、堺市市場連合会では市内に29ある公認市場、計約350店舗で同市の振興券を使って買い物をした客に、抽選でハワイ旅行をプレゼントすることにしている。 また佐賀県唐津市呉服町商店街では「地域振興券歓迎セール」として、振興券利用客に買い上げ金額の二割の商品券をプレゼントすることとしている。同商店街では振興券の有無にかかわらない第二弾のセールも計画しているとのことであり、このようにして個人消費が刺激されることにより地域経済の活性化に少しでも寄与することができるとしたら、地域振興券交付事業の趣旨に叶うことになる。今あげた例は、たまたま手元にあった新聞から拾ったものであるが、毎日のようにこうした記事が出ている。 旅行業界をはじめ様々な業界においてもいろいろな企画商品が発売されてきており、枚挙に暇がないくらいである。事業者において地域振興券の内容を理解の上、企画商品が作られているものであると考えてはいるものの、中には地域振興券の趣旨に沿わないものが出てくる可能性がないとはいいきれないので、その点については市町村においても適切なご指導、ご助言等をお願いしたい。 なお、一部の地域の特定事業者から、換金までの日数がかかりすぎることについて不満の声が上がっている旨の報道がなされているが、基本的には特定事業者募集要項の中で、換金については市の定めた手続きによる旨の記載があり、その内容を了解した上で登録の申し込みがなされているものであると考えているが、取り扱いを実際に始めてみれば予想以上に地域振興券の利用が多く、逆に現金収入が減ってしまうというケースもありうるものと考えられる。そのような場合においては、市町村の判断で、金融機関と協議の上、換金までの日数短縮が可能であればそのような取り扱いとすることもできよう。そのために振り込み件数が増大することになったとしても、その分の事務費の手当てがなされるものと考えていただいて差し支えない。 文中意見にわたる部分は、すべて私見であるが、この部分についてだけは自治省としてのものである。ご承知いただきたい。 |