「日政連」2005年3月15日(月刊不動産3月号付録)
発行所:全日本不動産政治連盟
「暮らしやすさの演出」  もう舞台の幕は開いている

私は、佐賀県の魅力の一つに「暮らしやすさ」があると思っています。

自分の家に田んぼや畑をもっている人が多く、今の時代、自分で食べるものをつくることができるのは、非常にぜいたくで安心なことです。

また、経済的にいい位置にある北部九州経済圏域にあって、生活的には都会と田舎のバランスがうまくとれており、ある意味、二十一世紀型の生活の理想郷が佐賀県にあると思っています。
 
これらの「安心であること」や「都会と田舎の生活バランス」については、これからの「住まい」について考えていくうえで、重要な要素となります。
 
背景には、これから更に少子高齢化が進み、人口が減少していくと、高齢者や若者の単身世帯が増え、核家族世帯は減少していく一方で、既に、住宅数が世帯数を上回っているという事情があります。また、行政の側にも、地方分権や三位一体改革という大きなうねりのなかで、地域のことは自ら考えて施策を推進していく必要があり、その財源を求めて、人口誘致や定住促進などを重要な施策として位置付けているという現状があります。 
 
こうした背景のもとに、これからは、家族構成や年齢に応じて、借家の住替えや中古住宅の買換え、住宅リフォームを行ったり、あるいは、各自の価値観やライフスタイルに基づいて、都会か田舎での暮らしを選択していくものと推測されます。

これまで、「住まい」に関しては、例えば、「駅から何分」とか、「学校や病院まで何メートル」などの位置関係の情報が添えられていました。

これからは、「この町では、子育て支援が充実していますので、共働世帯にお薦めです」とか、「介護サービスや給食サービスなどが充実していますので、高齢者世帯でも安心です」などの行政情報、あるいは、「自然環境にも恵まれており、畑での自家菜園も可能です」といった自然環境情報を、より細かく自治体などと協力して提供していく必要があります。
 いわば、そこでの予想される「暮らしぶり」を、総じて提供していくことが必要で、安心して「住まい」を選択してもらうための誘引となります。

佐賀県では、NP0法人が、いよいよ「空き家バンク」事業をスタートさせました。田舎暮らしを求める人に、空き家や空き地の情報を提供しようとするもので、県も支援しており、過疎対策にも有効と期待しています。
 また、今年度から、伊万里市にある七ツ島工業団地を「ワンコインリース」と称して、1坪100円リースで貸し出しました。これまでの工業団地は分譲方式が常識でしたが、売れないまま資産を持ち続けるより、とにかくその土地で生産活動を開始してもらうことで、経済の活性化や雇用につながるということで始めたものです。

私は、知事に就任して以来、職員に訴えてきたことがあります。
 
「限りあるものからは、新しい発想や大きな夢は生まれてはこない」

自治体の「枠」や行政と民間の「壁」を越えて、「暮らしやすさ」をどう演出していくのか…もう舞台の幕は開いています。 

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。