![]() 古川 康の自治省時代から知事になる前までの執筆をご紹介します。 |
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| 地域づくり1月号 1994年1月(9) | |
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| なぜ国の審議会の答申では、地方住民八千万人のことを「なお書き」扱いするのか | |
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| 昨年11月27日に千葉・幕張メッセで開かれた「創立10周年ふるさときゃらばん大パーティ」に行って来た。 ふるさときゃらばんというのは、単なる劇団である。たかが、一劇団のパーティなのに自治省、農林水産省、JA全中、全国町村会、千葉県、千葉県教育委員会、千葉市、千葉市教育委員会が後援しているというのも不思議だし、このパーティのために、全国各地から人が集まってきて、特産品のブースを出したり、出し物を演じているのも面白く、僕自身、各地で地域づくりに取り組んでいる人たちをはじめ、築地の魚屋さんや『住宅情報』の編集長なんかと会うことができた。 副総理の羽田さんも仲間と一緒にお見えだった。そこいらのパーティによくある、政治家がちょこっと顔を出したというのとは違って、何時間も、しかもあいさつやスピーチなしで、パーティを楽しんでおられた。 「地域」の「現在」を明るく描くふるさときゃらばん もう一度言うが、ふるさときゃらばんはミュージカル劇団である。地域づくりの第三セクターだとか、自治省や農水省の外郭団体というわけではない。ところが、ただの劇団というわけでもない。つまり、こういうことなのだ。 劇団というと、普通は東京とか、大阪あたりで、ラーメン屋でバイトしている劇団員が、「現代社会に巣くう病理をシニカルに描き出す」だの「今、関西で一番ウケてる劇団がコレ!吉本もビックリのこのパワーを見よ」といったノリでやっているというイメージがある。 そこに描かれているのは、暗いこともあれば、明るいこともあるのだが、とにかく、都会のことである。地方を舞台にした芝居というのは、まずないと言ってよい。それは、そもそも、ふつうの劇団は都会以外で公演をやらないからだ。 ふるさときゃらばんは、まずそこが違う。 彼らの演目は大きく分けて、都会ものと地方ものがあって、それぞれ、サラリーマンミュージカル、カントリーミュージカルと呼ばれている。このうち、カントリーミュージカルというのが僕の思うところの、この劇団の白眉ともいうべきもので、地方のマチやムラを舞台にしたものなのである。 これまでも、地方のマチやムラを舞台にした芝居がなかったわけではない。しかし、だいたいその手のモノは、「昔」の「田舎」を「くらーく」描くものばかりだった。 要するに、何をやって「夕鶴」だったのである。 ところが、ふるさときゃらばんは違う。「地域」の「現在」を「明るく」描くのである。 農村の嫁不足の問題から始まって、コメの輸入自由化問題、ムラの選挙、そして、ゴルフ場開発など、今日的なハナシを楽しくわかりやすく取り上げている。 そして、こうしたテーマの芝居を持って全国を回っている。 全国659市町村で公演 これまで、ふるさとキャラバンが公演を行った地域は、全国で659市長村。各地で公演を行う際には、まず、公演の数ヶ月前から現地に事務局を作って入り込み、ひとつひとつ地域を回って、そこのキーパーソンに会い、話をし、その地域で実行委員会を組織してもらう。 母体は、JA青年部だったり、役場の有志であったり、商工会であったりといろいろ。高校の同級生グループなんてこともあった。 人口1,300人という、ある村での公演のときは、村で公演を引き受けるかどうか、毎晩議論となり、そのたびごとに「やることにしました」「やっぱりやめます」と結論が変わった。やると言う以上は、お客を集めなければならない。1,000人集めないと赤字にあるという。人口1,300人のムラで1,000人、しかも、小学生以上は入場できないのである。簡単に結論が出せないのは当たり前である。 幾晩もの議論の結果、最終的にやろうということになって、ふたをあけてみれば、チケットは1,200枚売れ、当日も1,000人近い入りで、会場になった学校の体育館は超満員。「芝居が終わったあと、お客さんが自分に『誘ってくれてありがとう』と言ってくれたりするんですよ。やってほんとうに良かったと思いました」と実行委員の一人が語っていた。 こういうやり方で全国を回っているから、この劇団には、各地で地域づくりに取り組んでいる活きのいい人たちのファンが多い。 役場の職員の中でも元気のいい人たちがいるし、農家の嫁だけでパリに行くということを手がけた人もいる。車のトップセールスマンもいれば、議員もいると、これだけの人間をネットワークできているというのは他に例を見ない。 ふるさときゃらばんは、新作「男のロマン 女のフマン」を引っ提げて全国巡回中。あなたのマチやムラにも、ある日突然、劇団の制作の人が、「ここでミュージカルやりませんか」と言って、訪ねてくるかもしれない。そのときには、どうか怪しまずにお茶の一杯でもさしあげて話を聞いてやっていただきたい。そして、そのとき、たとえば来年度事業でなにか人集めを考えなくちゃいけないが、あんまりカネがなくてあなたが悩んでいるようであれば、ふるさときゃらばんの公演をやることを考えても悪くはない。 大してカネはかからないし、地域が盛り上がるし、うまくいけば、黒字にさえなる。徳島県で、構造改善事業の一環ということでなんかの大会をやったときに、ふるさときゃらばんの公演を大会のプログラムに組み込んだこともある。 東京の話を全国の問題にしないで 僕が、これほどふるさときゃらばんのことを言うのは、逆に言えばこれ以外に「地方」の「現在」を発信しているものを知らないからである。 テレビも歌も小説も雑誌も、舞台は都会ばかり。「通勤時間は1時間半」「ウサギ小屋のローンでアップアップ」小学生が塾に通って、中学受験」などなどみんな東京の話ではないか。こんなことを全国的問題のように扱わばないでほしいと思う。 これに限らず、ホントは全国のことを考えなくちゃいけない政府の審議会の報告書だって、だいたい、地方のことというのは、「また書き」か「なお書き」である。どうも議論の中心になっていない。地方には7〜8,000万人住んでいるんだということが首都圏3,000万人の中に住んでいらっしゃる学者や、財界人で構成されている政府の審議会なんかの委員の人びとにはわかっていただけないようだ。 去年の11月、政府税調の答申が出た。全部で53ページある本文のうち、地方税に関する部分はなんと2ページちょっと。 国と地方の税金の割合は6.5対3.5なのに、ちょいと税調の先生方、あんまりじゃござんせんか。 |
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| 杠 玄照とは古川 康のペンネーム 杠 は、佐賀の特徴的な苗字なので、佐賀の人間だということをさりげなく表現しています。玄照 は「玄界灘を照らす男」という意味で気概に満ちたネーミングです。 |