![]() 古川 康の自治省時代から知事になる前までの執筆をご紹介します。 |
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| 1992年 4月 「地域文化」 Vol.20 | |
| 環境という名の宗教 村山 建大 (古川 康のペンネーム) | |
4月は何を始めてもいい季節だが、この春のオススメはNHKのラジオ講座「やさしいビジネス英語」である。 この講座は英会話の講座ではないから、 マイク あれは机ですか。 ナオミ いいえ、あれは机ではありません。 マイク それではあれは何でしょう。 ナオミ あれはサンダルです。 といったアホらしい会話もなく、また受験英語のように、「馬が魚ではないように、鯨もまた魚ではない」という例文を暗記する必要もない。ビジネスの現場で使われている英語を、アメリカの企業、社会の変化を背景として学習するプログラムになっている。 昨年の10月からは新しいシリーズが始まった。舞台となっているのは「レインフォレスト(熱帯雨林)」という名の、環境保護をコンセプトとして企業経営を行っているアメリカに本部を持つ会社である。 テキストの中では、この会社は、商品生産にはすべて天然の原料を使い、創業者である女性社長は世界中を飛び回って、土地の女性が古くから使っている化粧品の原料を探していて、日本ではウグイスのフンに着目したものの、原料の供給に問題があるということで実用化されなかったとか、商品開発の際、動物実験はしない、無駄な包装はしない、商品はすべて詰め替え可能、そして広告をしない、社員は勤務時間内にボランティア活動などの社会活動を行うなど、かなりユニークな会社として描かれている。 実はこの会社は「ボディショップ」という、実在するイギリスの化粧品会社がモデルになっている。描かれている内容もほとんど実話である。社員だけでなく、ユーザーにも環境問題に対するメッセージを送り、会社自ら動物保護や、債務と自然保護を交換する計画(もっと言い方がないものか。つまり、発展途上国の債務を一定額帳消しにする代わりに同額をその政府が自然保護に投資するというもの)に参加している。 日本ではジャスコが100%出資してボディショップの日本法人として「イオンフォレスト」という会社を作り、三店舗展開している。 ボディショップは「環境保護」というプリンシプル(哲学)を前面に出しながら会社としてプロフィッツ(利益)を出しているというところが面白い。 「環境保護」を教義とし、購入という名の寄附、詰めかえという名の奉仕を行っている宗教法人であるという風にもいえるだろう。 ボディショップほどではないにせよ、環境保護については熱心に取り組む企業も出てきた。 たとえばP&G。同社の紙おむつ「パンパース」を買うと、袋に「一緒に考える環境問題」がプリントされている。パルプの供給地は北米で、しかもP&Gは1本切ったら、必ず3本の木を植えていること、紙おむつの圧縮パック化で包装材料(ポリ袋)を約20%減少させたこと、そして布おむつと比べて、より環境に悪いはいえないことなどが記されている。 その点、花王の「メリーズ」にはそういうプリントはなく、代わりに「お友だちを紹介してください」というのが書いてある。(別に花王に悪気はない。いつも使っているのが花王というだけである。)ただし、「メリーズ」でゴミ箱におむつを捨てないでくださいといっているのは立派。行楽地にある野天のゴミ箱に紙おむつが捨てられて、そのあと雨が降ると、おむつがとてつもなく水を吸い、ふくれあがり、あとしまつがホント、大変なのだ。 長野県は環境問題のネタが多い。TBSで土曜よる9時放送「ひとりでいいの」でも、沢口靖子の勤める大手商社の手がけた長野県内のリゾート開発に地元住民が反対するという場面が出てきていた。 それにしてもだ。「住民の健康を守るため」と称してゴルフ場建設反対のための立ち木トラストに参加している県内某町の医師会が、町のやっている住民の定期検診をボイコットしていたのはやっぱり変だった。まがいものが多い点でも、環境と宗教は相通じるものがある。 まがいものではないけれど、この3月に発売された『Hamidas1992』は、前回とはメンバー、内容、コンセプトを一新したもの。『1990』とは全く別物であるので念のため。 |